Earth & Sky Ltd., P.O. Box 112, Lake Tekapo 7945, New Zealand.

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綺麗な星空は宇宙への窓 「星空自然遺産」

ニュージーランドの南島の中央あたりに、周りを山々で囲まれたテカポの村と世界最南端のMt.John天文台があります。 暗い環境が保たれ、星空が綺麗な場所として知られるようになりました。

星が綺麗に見える為には、塵や水蒸気の少ない大気と、真っ暗な環境が必要です。 街が大きくなり、明かりが夜空を照らすようになると星は見えにくくなってしまいます。

テカポの村にも大きな再開発計画があります。 一度明るくしてしまった星空を元にもどすのは大変です。 今あるものを保つ努力が求められています。


テカポの暗い環境の保護は、マウントジョン天文台を管理するカンタベリー大学が行ってきました。 地元の人々の協力を得ながら進めてきた星空保護ですが、西欧世界で続いたバブルの波がニュージーランドのテカポにも押し寄せ、2000年には村の再開発計画が持ち上がりました。 商用地や住宅地を現在の20倍に広げ、将来的には一大観光地にしようというものです。 好景気は町や多くの人々を再開発と不動産投資へ向かわせました。

村では住民集会が開かれ、どんな施設を作り、どんな町にしてゆくかが話あわれました。 その中には「何もしないで、現状のままにしておく」という選択はありませんでした。 開発はほとんどの人に賛成され、「何もしないでおく」という私の意見は相手にされませんでした。 開発が進んでしまうと、星が見える環境を維持することは、大変難しくなります。

しばらくして開発の青写真はできあがり、計画は進みだしました。 開発を止めるには、テカポに住む人に、テカポの星空の素晴らしさに気づいてもらい、皆の誇りになるものにしなくてはなりません。 星空を世界遺産に、という考えはそんな中から生まれたものです。 国立公園にしよう、では開発に反対、という印象が強くなってしまいそうですが、世界で初めての、星空世界遺産 ということになれば、その与える印象は全然違います。 地元の人々の誇りにもなり、さらには、上手に進めれば国の賛同も得られ易いのではないでしょうか。

その後、再開発計画は具体的に進みだしますが、転機がやってきます。 2008年にあったリーマンショックです。 リーマンショックの影響はニュージーランドへも及び、軒並み大きな開発が見直しになったり中止になりました。 テカポでも具体化していた大きな商用地区の開発が見送られました。

そんな折り、2003年頃からニュージーランド人の協力者(Graeme Murray氏、John Hearnshaw氏、Margaret Austin氏)を得て進めていたニュージーランド政府やIAU(世界天文学連合)、UNESCOへの働きかけも少しずつ動き出し、賛同してくれる海外の天文台などが現れ始めました。  リーマン・ショックのあった翌年、2009年の世界天文年には、IAUとUNESCOが共同で式典を行い、星空の保護について話し合いがおこなわれました。

翌2010年ブラジルであったUNESCO総会では、初めてStarlight Reserve と言う言葉が使われました。 その席上、ニュージーランド 代表やスペイン代表から星空自然遺産に関する説明が行われています。

ニュージーランド国内でもTekapo-Starlight Reserveという見出しでテカポの星空がニュースになり、星空世界遺産は皆の注目するところとなりました。 このニュースはテカポの村でも話題となり、地元の人達はそれまで当たり前に毎晩眺めていた星空が、世界で指折りの綺麗な星空であることに気づくことになります。

リーマンショックから世界天文年、ブラジルでのUNESCO年次総会にいたる経緯の中で、テカポの星空世界遺産運動は新しい局面を迎えたように思います。それまで見向きもしなかった人達や、反対してきた人達、そして地方自治体も星空の持つ価値について、これまで以上に関心を持つようになってくれました。

これはとても大きな前進でしたが、心配していた課題も顕著になってきました。 星空世界遺産の主な目的は暗い環境を守って、星が綺麗に見える状態を維持することにありますが、大きな経済的な効果も期待できるものです。 星空が、中断している開発の再スタートに使われ、夜空が明るくなる速度を上げるようでは、元も子もありません。夜空を明るくしないように注意しながら、村の発展を図る必要があります。

2012年6月11日から3日間、テカポで3回目となるInternational Starlight Reserve会議が開かれました。 世界中から天文台関係者や、星空保護に取り組んでいる人々が集まり、暗い環境を保つ取り組みや、生物に与える影響などについて話合われました。 星空が綺麗に見える暗い環境も、守らなければならない地球環境の一つである。 ということが参加者達の共通の認識でした。

この会議の前には、テカポが最も綺麗な星空を持つStalight Reserveである、との発表がIDA(International Dark sky Association)からありました。 テカポのあるMackenzie盆地全域がその対象です。今回のStarlight Reserveとしての認定はUNESCOによるものではありませんが、初めて世界に認められた受賞となりました。

将来UNESCOが、星空を自然遺産に含めることにした場合、テカポはその良いテストケースとなるでしょう。 現在もニュージーランドの環境庁(Department of Conservation)が中心となってUNESCOへの働きかけを続けています。

暗い環境の維持と村の開発の両立は、簡単なことではありません。 テカポのことをニュースで知り、星を見に来る人は、星が見える暗い環境を求めてやってきます。 また、テカポに住む人も、星が見えなくなってはお客様が来てくれません。 星空に関心を持つ旅行者や住民が増え、両立させる良い方法が見つかることを願っています。


宇宙に浮かんだ地球は、かけがえのない奇跡の星


私は草むらに寝転んで星を見ているのが好きです。星は皆同じ方向に動いてゆき、その反対方向にまわっている地球の自転が背中に伝わってきます。

しかし、宇宙にはロマンや夢と一緒に多くの危険もあります。
地球にぶつかりそうな小惑星や、凄い威力を秘めた太陽風、突然起こるかもしれない近隣の星の爆発など、これからも観測を続け、宇宙の本当の姿を知らなくてはなりません。


地球や人類が辿ってきた歴史は、これからも繰り返されるでしょう。


今私達はかけがえのない星の、

奇跡の瞬間に生きています。


小澤英之

Earth and Sky Director